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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
村の若者、子供などが、口々に語りながら、原へ入る畝道のところまで来て
「あいつ、お鷹野へ、入っとる」
と、草原の男へいった。所々に、立札が立っていて、原へ入るのを、禁じてあった。男は、子供の言葉が聞えたらしいが、腰から、煙草入を出して、煙管を口にくわえた。小太郎は、子供達が
「あんな遠くへ行っちゃ、見えねえではねえか」
とか
「詰んないから、戻ろうよ」
とか、いいつつ、じっと、鷹狩の方を眺めている子供の側に立っていたが、男の顔を見ると
(見覚えのある――)
と、思った。そして、男の口から出る煙に包まれている眼を、口を、じっと見つめていたが一
(広岡だ)
胸が、突かれた。
(久光を狙っているのだ。きっと――)
小太郎は、編笠をきたまま、畝を越えて、草を踏んで、徐かに、男の方へ近づいた。男は、ゆっくりと、だが、手際よく、煙管を、腰へ差して、立上った。
「仙波じゃ」
小太郎は、低くいった。
「そうらしいと思うた。人目に立つ」
と、広岡は、口早にいって、立木の多い、少し、村の方へ引返した窪地のところへ、歩いて行った。小太郎も、村人を警戒しながら、素知らぬ振りをして、ついて行った。