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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
久光の人数が、原の中を、二人の方へ、動き出すと同時に、二人は、草原を出て、村の方へ歩き出した。村への入口に、汚い、小さい地蔵堂があった。破れた扉に、赤い、白い涎かけが、いくつも縛りつけてあったし、堂の中の石地蔵は頭の上にまで、それを乗せていた。
(討つか――討つまいか)
小太郎には、未だ、決心が、つかなかった。だが、広岡が
「ここより外にはない。ここなら、警固方から見えぬ。あちらからも、判らぬ」
二人は、地蔵堂の横に立った。そこは、久光からは、堂の蔭になっていたし、警固の者のいる寺からは、百姓家の蔭に――そうして、堂の前は、雑木の林であった。広岡が
「初太刀は、某に――仕損じても、仕損じんでも」
小太郎は、頷いた。広岡は、往来を覗いて見て
「もう、出て来る頃じゃに」
と、呟いた。そして、懐中している脇差の鯉口をゆるめて、目釘へ、唾をつけていた。小太郎は
(この男を、犬死さす訳にも行かぬ――いいや、五人に、二人としても、久光と、鷹匠は物の数ではない。さすれば、三人に二人――十中の九まで、仕損じはない――久光は討てる。易々として討てるなら、討って――この場を逃げて、牧をも討つ――そうだ、何う逃げるかが考えるべきところじゃ。