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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
吉之助の声は、顫えていた。
「悉く、お集まりに、相成りまして、ござります」
次から、切腹の座に、つらなる人々の、到着したことを、知らせに来た。
「では、戻るがよい」
吉之助は、真赤な、そして、涙の溢れている、大きい眼を上げて、靱負を見た。
「泣くな」
靱負は、そういって、微笑した。
「大久保は、何があっても泣かんし、お前は何かがあると、すぐ泣く」
靱負は、そういいながら、立上った。そして
「判ったか」
「はっ」
吉之助が、そう答えると、振向きもしないで、次の間へ入ってしまった。吉之助は、掌を顔へ当てた。
斉彬は、伊達宗城の言葉の終るのを待って、静かに
「然し、余の事とちがい、父の心一つにて決することゆえ、お志は忝ないが、万事父の心任せに――」
「そういうとは、身も、承知して参った。然し、お身のために、いろいろと、心を砕いている家中の者が、可哀そうとは、思わんかのう。お由羅方の人を、処分するか、せんかは、お身の心一つで――恐らくお身は、手をつけまいが、斉興殿は、この上、何をなさるかも知れん。もし、この後、ああしたことをなさるなら、いよいよ何事が起るか、判らんではないか? お身の孝心は、宗城、感じ入るが、父上一人の御機嫌をとるために、島津の家を亡ぼして、それが、賢人の道かの」