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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

庄吉は、片手で、帯を巻きながら

「牧の野郎のことでござんすが、仁吉の云うにゃ、大阪で、斉興さんに、逢ったらしゅうござんすが」

小太郎が、頷いた。

「それから、何うしたか、野郎、一向に姿を見せませんが、多分、蔵屋敷の中に、おるんじゃないかって、こういう知らせで、ござんすが」

「忝ない」

「それで――」

「それで、判っておる」

「お判りになりますかい、行く先が?」

「うむ」

「何うして?――何うして、判ります?」

「叡山で、待てば、よいであろう」

南玉が、入って来て

「おお、暑い」

と、云って、肌脱ぎのままで坐った。そして

「矢張り、道中は、庄吉をお連れになった方が、ようがしょうがな」

「何うして、お判りになります?」

「それはの、聞くところによると、兵道家は、修法場を汚された時には、その汚れを払い、諸神に、謝罪するため、三倍の修法を、その場所にて致すものであるそうだ。牧が、大阪へ行った以上、父のために汚された叡山へ行くのは、必定だ。ただ、すでに行ったその戻りに寄ったのか、これから行くのか、もし、すでに行った後とすれば、恐らく、牧は、大阪を立てば、国許に戻るであろう」

「成る程な」