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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
島津に対して、いかにも、牧は悪逆の徒じゃ。これを誅するのは、善にして、勇なるものであろう。然しながら、天下の形勢は、島津をして、薩南偏僻の、田舎者のみにしておかなくなったぞ。徳川に代って天下をとるか? 取らぬか? よし、取るにしても、取らぬにしても、島津は、今や、天下の島津だ。世界万国に対して、将軍よりも、斉彬だ。よいか、吾々、島津の家来は、島津家一家に対して、忠であると共に、天下に対して、大いになすべき使命があるのだ。片手に牧を討って、片手に、天下の蒼生を救うのだ。黒船の来襲、これを、小太、誰が救う?」
「手前の踊で――」
と、南玉が云って
瀬田の橋から見渡せば
矢走の船も、帆をハリス
と、口吟みながら、それでも、その眼は、情熱をもって、益満を凝視していたし、その耳は、一語を、一句を、頭の中へ、滲ませていた。
庄吉は、欄干へ片手をのせて、その上へ顎を置いて、清冽な水を眺めながら
(うめえことをいうわい)
と、感心していた。深雪は、時々、通りながら、じろじろ眺めて行く旅人の眼を避けて、庄吉と同じように、湖水を見ながら――だが、その心は、益満の話を聞きながら