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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

(死んでも、何事でもない)

とも、感じていた。

(何が、怖いんだ、何が――)

と、庄吉は、自分へ、叫んでみた。だが、心臓が、昂っているし、時々、溜息をしなくてはならなかった。

(若旦那は、一体、何を、まごまごして、落ちついてるのだろう。薄っ気味悪い坊主の前で――何んだ、あの坊主は?)

庄吉は、足許を、気づかいつつ――墓を捜しつつ、歩んだ。

(野郎、うまく欺して、お嬢さんのところまで、引っ張って来りゃあ、いくら、若旦那だって、まさか、捨てておけめえし――もし、捨てておきゃあ、その時は――)

と、自分の命をすてることを考えたが、それは、深雪と、二人でいて、そう決心した時ほど、強くは感じなかった。そして

(万一の時には、小太郎が――)

と、思った。

(捨てちゃあ置かれねえことなんだから――命にかかわるんだから――)

捨てておくべきことでない、と、庄吉は思ったが、小太郎の態度を思い出すと

(もしかしたなら)

と、いう懸念が、起って来た。

「なあに」

と、口へ出して

「人間二度たあ、死なねえんだ」

と、云った時、草の上に、ちらっと、墓石らしいものが見えた。

(あれが、墓だな)