輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
斉彬は、眼を開いて、久光を見て
「何か、珍しい話はないか」
と、聞いて、薬湯へ、手をかけた。
「兄上の、御発明の、あの日の丸の総船印が、日本の総船印として、定められたそうで、ござりませぬか」
「うむ」
「日章旗と、名づけて」
「ふむ」
久光は、世継が、今日、殿中で決まったのに、いつもより、憂鬱な顔をしている斉彬の態度に、不安な影がさしてきた。
(何うしたのか――)
と、感じながら、又、何かしら、自分の判らないことを考えて、沈んでいるのではなかろうかと、思うと、濫りに、口へ出して、聞けないような気がした。だが、斉彬が、薬湯を飲み終ると
「首尾、如何で、ござりました」
と、口を切った。
「断れぬことゆえ、お受けはしたが――父上のことを思うと、気がふさいでならぬ」
久光は、はっとした。自分が、無理に、斉興にすすめて、隠居願を書かせたことなど、斉彬に知れては、何う叱られるか、知れぬと思った。
「誰がすすめたものか――」
斉彬は、湯呑の中の、薬湯を、じっと眺めながら
「父上は、未だ、隠居をなさるお心持は、無いに――誰が、おすすめ申したのか――」
久光は、自分の兄に対する唯一の好意が、兄を怒らせ、兄を苦しめていそうなので、不安に脈打つ胸を押えて、俯向いていた。