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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

物理、計数の上に立つ力が強いか、人間の霊妙心が強いか――斉彬を呪殺することは、よし、島津に対して不忠にもせよ、霊妙心の、不可思議を、天下に示すことは、兵道家としての務めであり、天下のためでもある。まして、謂わんや、斉興公への忠義になることを――この老人は、体よく、わしに、退去を願いに来たのであろうが、云われずとも、この炎暑の天に、諸天を迎えて祈ることは、何時よりも効験の著しいことだ――かかろう)

牧は、

「明日、早々に、山へ籠ることに仕ろう」

「いや、そうせかずとも――」

と、江阪は、外を眺めていた。

牧は、指を繰っていた。そして

「斎宮合致の刻」

と、呟いた。

「御存じかな」

老人が、呟いて、

「聞かれましたかな」

と、振向いた。そして、膝を、牧に向けて

「御子息の」

と、顔を見た。牧は、眼を閉じて、何か考え込んでいた。

「御子息の――」

「倅の?」

「百城とか申される――」

「それが?」

「いや、未だ、お耳に入っておりませんとなれば、一大事」

牧は、それでも、眼を閉じたきりであった。

「何んと、御挨拶申し上げてよいか――」

老人は、そう云ったのに、未だ眼を開かぬ牧に、物足りなさを、感じながら、