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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「水をくれ、水を――」

「水は、冷たかろうな」

四人は、編笠をとって、腰をかけた。

「暫く、待って下されますなら、谷へ降りて、汲んで参りますが」

亭主は、そう云いながら、義観に

「お届け申しましょうか」

「何んの、わしが、持って行く」

一人が

「間がかかるか」

と、聞いた。

「一寸、かかりますが」

「何んでもよい。早くせい、早く」

「はいはい」

義観は、じっと、牧の横顔を、凝視めていた。そして

(月丸の父ではないか)

と、思った。

(前の祈祷を、もう一度行いに来たのであろう――よく、月丸と似ているが、月丸とは、人物の段がちがう)

そう思った時、一人の侍が、

「亭主」

と、叫んだ。

「亭主」

と、大声で呼んだ侍が

「この辺に、義観という坊主が、住んでおるか」

亭主は、その義観が、その侍の横にいるので、何う返事をしていいのか? いると云って、義観を教えたなら、侍がてれるであろうし、と云って、いないとも云えないし

「はい」

と、云ったまま、お叩頭をして、暫く、黙っていた。参詣人も、若い僧も、侍の顔をじっと見ていた。

「おらんか」

「おるぞ」

義観が云った。

「わしが、義観じゃ」

三人の侍が、振向いて、義観を見た。