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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
そういううちに、戻るであろう」
「おい、講武所の所長に、男谷下総守が選ばれたのを存じておるか?」
「本当か?」
「昨日――本当じゃ。新徴組の浪人など、束になってかかっても、怖ろしくはないが、下総が立つと、大敵だぞ」
「清川を殺したのは、男谷門下の奴ではないか」
「いいや、下総は、そんな人物ではない」
「然し、幕臣ではないか」
「新徴組には、甲斐の祐天と申す博奕打が、伍長で入っているというのう」
「何を致すか、血の道のすることは、判るものではない」
夕立に
法華も、門徒も、雨宿り
上見て、下見て、濡れまいと
同じ軒端の、押しっくら
「お春、皮肉なことを、唄っておるぞ」
一人が
「師匠っ、うまいぞっ」
と、称めた。
「吾等、大悟一番、生死の念を放擲して、夕立の中へ、駈込むのだのう。濡れまいとするから、押合いになるが、十死一生と観ずれば、夕立何物ぞ」
そう叫んだ途端、格子が開いた。二三人が、一時に
「誰だっ」
と、怒鳴って、振向いた。旅姿の士が
「わしだ」
と、答えた。
「日下部だ」
「日下部」
「何うした?」
「益満は?」
人々が、一時に、喋り出した。二階の三味線が止んだ。日下部三次は、脚絆をとって、草鞋を脱ぎながら