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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

ように感じた。

前へ行く岩下佐次右衛門も、後方につづく吉井仁左衛門も、今まで同志と共に、将曹を討つために、興奮していたような態度は、何処にも無くなって、俯向いて、足音さえ立てないようにして、歩いていた。

(御帰国早々に、何事であろう?)

吉之助は、自分達の謀が洩れたのだとは思えなかったし――そして、御帰国のその日に、恐らくは、国許の重臣達さえ、未だお目通りをしていないと思われるうちに、召出されたということに対して、何う考えていいか?――

(然し、何か、大事なことであるには、ちがいない)

廊下がつきて、一段高くなった。先へ行く侍が、その高くなったところから又つづいている廊下へ坐って、部屋の中へ

「岩下佐次右衛門殿、西郷吉之助殿、吉井仁左衛門殿、大久保一蔵殿、罷り出ましてござります」

と、云った。四人は、廊下へ坐って、頭を下げた。部屋の中から

「お進み下さるよう」

と、云った。四人は、廊下から、膝で歩いて、敷居の内へ入った。その部屋の左手に、斉彬が居るらしく、二人の侍が、次の間との間の襖へ手をかけて、左右へ開いた。四人は、平伏した。

「近う、ずっと近う」

四人は、それが、斉彬の声であると、判ると、姿は見えないが、身体中に、寒さを感じながら、平伏してしまった。