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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「奴等、低い身分の者は、失う物がない。京師へ脱走し、江戸へ出奔するに、身一つでいい――わしは、近頃、あいつらが、羨ましくなって来た」

そう嘆じる上士階級の人々もあったが、多くの人々は、

「倒幕の、何んのと、流行物にすぎぬ」

と、考えていた。そう考えなければ、かれ等は、軽輩の下につかなくてはならなかった。倒幕のこと、開国のことにかけては、軽輩の方が、遥かに、経験と、理前とをもっていた。そして、軽輩が、信じている如き天下となれば、当然、そうした天下にした功労は、軽輩の手に移って、自分らの現在の地位は、逆になる虞れがあった。だから

(流行ものだ。今に、治まる)

と、考えて、気安めをするより外になかったかれ等は、今更、軽輩の後塵を拝して、働きたくもなかったし――だが、そう考えながら

(或いは、そういうことになるかもしれぬ)

と――そして

(そうなった時には、この地位が――だが、今更、大久保や、西郷の前に、頭が下げられるか)

と、自分の考えと、自分の地位の矛盾に、いらいらしながら

(斉興公が、この際、思いきって、軽輩共を、やっつけてしまってくれたなら――)

と――それは、上士の人々は、お互に、口へは出さなかったが、肚で考えていることであった。