輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
天守閣にのぼって見ると、満天の星が冷々とまたたいている。城下はまだ暗く屋根も浮いて見えなかった。その漆のようなひろい闇を縫って、鷹取峠から千種川をこえて城下へ流れて来る一列の炬火がある。いうまでもなく、この数十日前から、国境に筒をかまえて、或る場合に備えていた姫路、岡山の諸藩の兵だ。
なおよく見ると、城下に迫って、近々と陣をそなえているのもある。今日の城受取りの正使、播州竜野の脇坂淡路守の隊伍であろう。
更に、一転して海の方をながめると、そこはすでに、白々と、細い波が光っていて、鯨の群のように、各藩の兵船が、水軍の陣線をひいて、赤穂領のうしろを抱いていた。
鬢の毛に、冷々とふれる風を感じながら、内蔵助は立っていた。いつまで立っていても立ち飽かない気がするのである。自分の一代のうちにこういう夜明けを待とうとは思ってもみない事だった。ふかぶかと心を掘り下げて見ておかなければならない闇だと思うのであった。心に怠りが生じてきたら、いつでも、瞼をとじてこの闇を想起しようと思う。
いたずらな仏説を信じるのではない。しかし彼は信念をもって思った。こよいこの城には亡君内匠頭の魂も必ずや来て在すに違いないということを。