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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
武士は泣くもの
太鼓声
十内老人と忠左衛門は、眸を見あわせ、
『さすがに千坂兵部、よい手飼いの者がある』
と、唸くように呟いた。
武士は泣くもの
太鼓声
上野介のすがたを探し求めて行く組の屋内戦と、それを掩護しつつ目的の徹底を期してゆく組の屋外戦と――その時、もう吉良邸は、まったく坩堝の底と化していた。
この騒音は、当然、吉良邸に接している近所の屋敷をも驚かした。物音の起った最初には、何処の屋敷でも、
――素破、火事?
と考えたらしいのである。
表門に向っている旗本牧野長門と、北隣りの本田孫太郎の屋敷では、家来が屋根に上って、
(はてな? ……)
火の手も煙も見えない叫喚の旋風を、不審るように見ていた。
すぐ塀隣りの土屋主税の屋敷では、
(さては――)
と思い当るところがあったか、家臣たちは高張提灯を高く掲げ出して、粛とはしていたが、隣家の異変に対して、万一の備えを固めているらしく思われる。
――今。
その坩堝の裏門から出て行った上杉家の木村丈八の背を見送って、ふと、武士だけが知る感動に打たれていた吉田忠左衛門が、
『お! ……、隣家への挨拶を、誰かいたしたか』
と云った。
『いや、まだ』