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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
蝙蝠羽織
だが、御普請の物が一切入っている大工小屋の勝手はよく知っている。図面板を取りだしたら、お屋敷の東側の塀から外へ投げることにする故、時刻をさだめてくれれば間違いはないと、確信をもってお粂は云う。
『じゃあ、必ず……』
『ええ』
時刻を約束していると、
『――叔父さん、来てください』
店番をしていた右衛門七が、奥をのぞいて、あわて気味に云った。
『――お客様ですよ、吉良様のおつやさんです。わたしには、値が分りませんから、叔父さん出てください』
蝙蝠羽織
おつやと云うのは、やはり吉良家の小間使で、お粂とも朋輩であるし、小間物屋善兵衛の店へも、よく買物に見える二十歳ぐらいな女性だった。
お粂よりは、二つも年上であるが、気質もずっと明るく、世馴れてもいた。すらりと細腰の美人で、
(あの容貌では、御隠居がただ措くまい)
などと冗談にもよく云われるおつやであった。
店頭の上り框に腰かけて、自分でそこの桐の重ね箱をひき寄せ、根掛けを選んでいた。
『これは、いらっしゃいませ』
善兵衛が揉み手をして、敷物をすすめると、おつやは、
『これを戴きます、お幾値』
『いえもう、お代はいつでも。