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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
と云ったが、
(いや、あの男に限って)
と、小野寺十内なども、首を振った方だった。
しかし、吉田、近松の二人が、やむなく、江戸へ発足してしまった後も、三平からは、なんの便りがない。いよいよ、彼も変心組の一名として、もう同志の頭から抹殺されかけていた頃だ。
『……しまった』
書面を読み終ると、十内は、悲痛な顔いろを行燈の下から上げて、呻くように云った。
『惜しい若者を、あたら死なした』
『えっ』
主税も、幸右衛門も、唾をのんだ。潮田又之丞は、十内の手にある書面のかすかな顫えを見ながら、
『萱野が、死にましたと?』
『ウーム、自害したと書面にはある』
『どうして?』
『事情は、いっこう認めてない。ちょうど今夜は、玄渓の宅へ、片岡その他の者も寄るはずだから、披露しておこう。……そうだ、おぬし等二人は、すぐ、摂州萱野村の三平の父、七郎左衛門殿をたずねて行け。お哀悼のことばを申しあげ、香奠も用意いたして』
『はい』
『では、私はこれで』
と、大石主税は帰ってゆく。
十内は、追いかけて、
『そこまで、御一緒に』
と、従いて行った。
その影を見送って、
『……萱野三平が死のうとは思わなかったなあ』