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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
『お邪魔さま』
立矢の字の後姿をならべて、そこから遠くない吉良家の通用門のほうへ歩いて行った。
『右衛門七、暖簾棒を』
善兵衛は、外に出て、軒暖簾を外しにかかった。
そして間もなく、戸をおろして、内から鍵をかって置いて、二人は裏口から顔をつつんで何処かへ出て行く――。
米櫃へ米は取っても、男世帯なので、晩飯はよく外へ喰べに出かけた。西両国の屋台だの、薬研堀あたりの茶飯屋などへ。
お粂と、約束の時刻まで、頃あいよく一酌飲んで、ふたりはぶらりと松坂町へ帰って来た。
その事もあるし――またべつに今夜は、前原伊助の米屋五兵衛の宅に、寄合いの密議もあるので、それへも顔を出すわけだった。
『右衛門七、左右に気をくばれ。……後はおれが見届けておる』
善兵衛の神崎与五郎は、矢頭右衛門七を先に立たせて、約十間ほど後から歩いていた。
与五郎は頭巾を――右衛門七は蝙蝠羽織を頭からかぶっていた。勿論、夜歩きの時には、大小を帯びて出るし、自ら身ごなしも武士に返っているので、近所の衆とすれちがっても、小間物屋善兵衛の叔父甥とは気のつく者はないであろう。
『其処。――その辺』
うしろからいう与五郎の小声に、右衛門七は立ちどまった。