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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

『うむ』

『父上、又、忌々しい者が、同志の中からあらわれました。中村清左衛門に、鈴田重八の両名が』

『また、脱盟者か』

『中村様のごときは、誰でも信じ切っていたお人でしたのに。――内匠頭様のおん亡骸を泉岳寺へ御葬送申しあげた当夜、御遺骸の前で髻を切って復讐を誓ったうちの一人でしたが』

『うむ……』

と、内蔵助は、障子側のほうの耳が冷たく痛むのであろう、炬燵ぶとんの上へ、横顔を伏せ、眠り猫のように、眼をほそめている。

聞いているのかいないのか――

主税は、父の倍もある頑丈な肩の肉を、思わず昂げて、

『そればかりか、まだあるのです。田中貞四郎、中田理平次の両名も、どうやら行方を晦ました儘、所在が知れません。甚しいのは――お父上のお耳にも入れたくない事ですが』

すると不意に内蔵助は顔を起して、

『小山田の事か』

『そうです、小山田庄左衛門が』

語りかけると、

『もう聞いておる』

『誰方から』

『そちの留守に、不破数右衛門が立ち寄って、話して行った』

『何とも、言語道断な仕方ではござりませぬか。ああいう人間とは、今日まで』

と、いかにも若者らしい感情を頬に燃やして主税は憤慨するのだった。