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しゅんでい

春泥・三の酉

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁

青空文庫

小倉に代って三浦はこたえた。

「じゃァすぐ。飯をくって出かけよう。」

由良は性急に手を叩いて女中を呼んだ。昼の仕度をいいつけると一しょに自動車の用意を命じた。――さァといえばさァが江戸っ子の悪い病である。

「墓まいりって奴は大ぜいの方がいゝ、――一人や二人だとわるく料簡がこずんでいけねえ。」

そのあといっそまた機嫌よく由良はわらった。

それからじき一行五人は……由良とその三人の外に吉沢が加わった。……谷中の天王寺の五重の塔のまえで自動車を下りた。空のあさ/\と晴れた、風のない、日のいろのおだやかに和んだ午後だった。要木だの柾木だのゝ低くさびしい垣つゞき。……その間の、人けのない、一トすじ石のいろの白くしずんだ細道のうえに、樒をもったり線香を煙らしたりした弟子師匠の、五つのそのもつれて行く影がしずかに濃く落ちた。

「陽気は正直だ、――わずかなところでぐッともう春めいた。」

さきへ立った由良のふいとそう振返っていった。

「そうでございます。――このまえ三七日にまいったときにはまだ……」

それにこたえて吉沢のそういうのにかぶせてまた由良はいった。

「どこもかも凍てついていた。