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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁
七
――一体、君、若宮君に細君があったかい? ――細君みたような人でもあったかい? ――あたしァ知らないよ、若宮君にそんなものゝあったという話だってあたしァ知らないよ。――あたしの知ってる若宮君は一人ものだった。――勿論、信州へだって一人でいったんだ。――死ぬまで、だから、若宮君は一人ものだったんだ。」
「じゃァどう思うんだ? ――どう思うんだ、お前は?」
いっそ冷かに三浦はいった。
「分らないんだ。――分らないんだ、あたしには。――だから訊くんだ。」
じれッたそうに田代はいった。
七
「ざまァみろ。」わざとそう憎体にいったあとで三浦はいった。「おせえてやろうか?」
「何をいやァがる。」田代は中ッ腹で「小倉君、分ってるか、君には?」
「知ってるんだ、三浦は。――俺もこの男に聞いたんだ。」小倉は三浦のほうを向いて「外のものじゃァない、話してやれよ、おい。」
「知ってるだろう、お前、若宮んとこの家の中を?」
それにはこたえずケロリとしたさまに三浦はいった。
「若宮君のとこの?」
「どんなさまだかってことをよ。――若宮のおやじやおふくろってものがどんなしだいだかってことをよ。