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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁
――心の住処……
ぼくは、おさわの、いまいったことを、口の中でいってみた。
――何んだって、しかし、かの女……
と思って、ぼくは、何んということなし、口に運びかけた猪口を、下に置いた。
――外は、いゝ月よ……
と、やがて、新規の銚子をかゝえて、おさわは帰って来た。
――よく天気のつゞくことよ。
――ほんとに。……けど、三の酉がすぎると、すッかり、もう、冬のけしきだからうれしいわ。
――好きか、君は、冬が? ……
――大好き……
と、おさわは、熱い燗の、その新規の銚子をついでくれた。
――ねえ。
と、ぼくは、ついでもらいつゝいった。
――来年は、一つ、一しょに行こうか。
――どこへ?
――酉のまちへさ。
――えゝ、行きましょう。
――松葉屋でゞも時間をつないで、景気よく、宵酉と行こう。
――それは、嫌……
――どうして?
――あたしはね、三の酉の昼間行くんでなくっちゃァ嫌……
――そんなこといって、来年、三の酉がなかったら? ……
――だッたら、二の酉でいゝわ。……どッちにしても、はつ酉はいやなの、にぎやかすぎて……
――昼間でなくっちゃァいけないという理由は?