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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁
をみなかった人たちをさえ魅了するものがあった。――それにはまた従来の、花柳界とか、花柳界を背景にしたそれ/″\のさかり場の客すじとかのたえざる後援のすさまじいものもそれにあずかって力あった。
その後、そのころ出来たある大きな演芸会社との契約が出来てその専属となり、嘗て倭一座の重鎮だった柳田だの藤川だの御園だのというたてものと一しょにしばらく芝居をしたが、そのうち柳田は死に、藤川は不治の病にかゝって舞台を去り、御園は間もなく生れ故郷の大阪へ帰って行った。そうして天下は完全に由良のものとなった。東京で「新派」……「書生芝居」だの「新演劇」だのという称呼はいまはもう返らぬむかしの夢になったのである……といえば由良一座にかぎることになった。――とはいえ、そのときは、由良をたすけて功労のあった志摩も白川もその他の古い旗挙以来の生抜きの座員は、そのほとんどすべてがすでに死んだりいなくなったりしていた。そうして残ったのは、実に、筑紫と菱川とかれとの三人だけだった。――鷲尾はそのずっとまえ思うところがあるといって役者を止し、みれんげなく堅気になると一しょに、飄然去って岡山の田舎へ帰った。