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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
しかし、当面の難問題、良人の病弱、二児の行く末など、彼女の今は、櫓梶もない小舟が闇夜の狂浪にゆられてゆくのにも似ていた。――すると、供先で一人が叫んだ。
「おっ、彼方から三騎、無法者らしいのが、砂けむりを立てて飛ばして来る。道をよけろ」
旅を行けば、いずこの領下にも、大太刀と荒駒を持つ若い無法の群れがやたらに目につく。
輿の従者たちは、駅路に着いても、市を見かけても、努めて彼らの眼光を避けた。彼らは、若さと野性を平和な日に持て余して、つねに退屈の吐け口を、どこかに見つけようとしているような者どもだった。
――たちまち。
バ、バ、バ、バッと三騎の武士が一瞬に前を過ぎた。そこでまた、輿は道に出て、南の空を見つつ歩いた。今日あたり、ようやく、やがてさしかかる武蔵野の彼方に、富士の姿も大きかった。
すると、後ろで、
「あいや、しばらく」
呼ぶ声に、振返ると、やりすごした先の三騎が、取って返し、
「もしや、お輿の上の女性は、足利殿のお内方ではおざらぬか」
と、訊ねた。
はて、やっかいな。怖れるのではないが、大事な旅先と、生返辞をにごすと、すでに武士たちは、駒を下りて、