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めいしんとしゅうきょう

迷信と宗教

井上 円了

線上閱讀井上 円了《迷信と宗教(めいしんとしゅうきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,147 字 · 298 頁

青空文庫

と命令すれば治す」という。

古来、わが国にて瘧を治するに、大抵みな、かかるマジナイを用いたものである。昔日のみならず今日にても、なおこれを用うるものが多い。その他の病気に至っては、意外の療法が今なお行われている。昨年『大阪新報』に、動物園の象と獅子等に関する記事を掲げてあった。これ、もとより迷信療法である。

天王寺公園の市立動物園へ象の糞をもらいに行く男があれば、獅子の尿を四合壜を提げて取りに行く女もある。ずいぶんときたない話。鼻をつまむ前に迷信の力を思わせらるるというのは、象の糞が淋病の薬と信ぜられておればこそ、動物園へお百度踏む男もできる。それがシナ人の間に最も信ぜられていて、南京町の住人たちは、くれぬなら買って行こうと現金主義をさらけ出して、係員をてこずらせる。それで、このごろでは別に手間のかかることでもないから、動物園でも園丁にその象の糞をためさせて、南京子のもとめに応じている。象については別に爪をもらいに行く人もある。これは、解熱剤にもっぱら煎じてのまるるそうだ。

獅子の小便がなににきくかは、動物園の人たちにもわかっていない。それに牝獅子は子宮内膜炎を患っているから、一切くれてやらないが、おかしいのは狂犬病のはやったときなど、幾人となく獅子のたてがみの毛をもらいに来た。