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めいしんとしゅうきょう
迷信と宗教
井上 円了
線上閱讀井上 円了《迷信と宗教(めいしんとしゅうきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,147 字 · 298 頁
第五〇段 迷信の原因 四(偽怪)
経験に乏しく論理に暗きために、妖怪中に偽怪、誤怪がすこぶる多い。偽怪とは偽造したる妖怪の意味で、人が故意に作る妖怪のことだ。その実例としては、拙著『妖怪百談』および『おばけの正体』中にいろいろの例証を掲げておいたが、そのほかにもたくさんある。左に二、三例を挙げておこう。
数十年前、三河国渥美郡田原町の青年が、ある夜、その町はずれ数丁離れたる所の寺院に集まったことがある。その堂後に墓場がある。その中にて一種変わりたる異様の古墓が、最も奥の方に立っている。この墓には幽霊が出るという評判がある。ここに集まりし青年が座談に時を移し、夜も深更に及んだ。そのとき申し合わせて、今夜くじ引きを行い、あたったものは評判の幽霊墓を見届けてくることにいたそうという相談になり、一人そのくじにあたり、怖いながら行かざるをえんことになった。果たして見届けたかいなかをためさんため、縄を持参して墓を縛して帰る約束であった。ちょうどそのとき隣室に小僧がいて、そのことを聞くやいなや、前もってその墓の背部に隠れていたそうだ。しかるに、くじにあたりたる青年は恐る恐るその墓の前に至り、仰ぎ見れば幽霊も化け物もおらぬから、安心して持参せる縄をもって墓を縛せんとする途端に、背後に隠れていたる小僧が墓の上よりてぬぐいをおろした。