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めいしんとしゅうきょう

迷信と宗教

井上 円了

線上閱讀井上 円了《迷信と宗教(めいしんとしゅうきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,147 字 · 298 頁

青空文庫

やはり人狐のごとく一種の変形動物と見て、これがオサキであると言い触らしたらしい。これはある家にて特に養いおかるるものと信じ、その家にてこれを使って、己の欲するものを他の家より持ちきたらせるという話である。しかし、出雲ほどにはなはだしき社会制裁を受けておらぬらしいが、大体においてはよく似ている。この迷信のある地方は養蚕の最も盛んなる所なれば、オサキが蚕を盗むという騒ぎがときどき起こる。ときによって、一夜のうちに蚕棚の蚕児がいくぶんか失せることがある。そうすると、すぐにオサキが盗んだということになる。その場合には、どこのオサキが盗んだかとの詮議が始まる。たいてい一カ村に四、五軒ぐらい、オサキを使う家と目されている家があるから、なにがしの家で、オサキを使って持ち去ったに相違ないなどという判断を下す。たとい鼠の盗み去ったのでも、みなオサキに帰してしまう。この迷信は今もってなくならぬ。

その他の迷信については別段著しいものはないが、余が千葉県巡回中に出逢ったおもしろい出来事がある。時は明治四十二年の春であった。千葉県にて東京方面より伝わってきたと申しているが、今年は婦人の厄年に当たり、若い婦人は必ず病気にかかる。