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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

五関突破

一

……旅のお疲れもあろうに、くつろぎもせず、なぜそのような礼儀を守っておいでかの?」

関羽は、微笑をたたえて、

「玄徳、張飛、それがしの三名は、兄弟の約をむすんでおるが、義と礼においては君臣のあいだにあらんと、固く、乱れざることを誓っていました。故に、ふたりの嫂の君とともに、かかる流寓艱苦の中にはあっても、かつて君臣の礼を欠いたことがありません。家翁のお目には、それがおかしく見えますか」

「いや、いや、滅相もない。いぶかったわしこそ浅慮でおざった。さても今どきにめずらしいご忠節」

それから老翁はことごとく関羽に心服して自分の小斎に招き、身の上などうちあけた。この老翁は胡華といって、桓帝のころ議郎まで勤めたことのある隠士だった。

「わしの愚息は、胡班といって、いま陽の太守王植の従事官をしています。やがてその道もお通りになるでしょうから、ぜひ訪ねてやってください」と、自分の息子へ、紹介状をしたためて、あくる朝、二夫人の車が立つ折、関羽の手にそれを渡していた。

五関突破

一

胡華の家を立ってから、破蓋の簾車は、日々、秋風の旅をつづけていた。

やがて洛陽へかかる途中に、一つの関所がある。