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さんごくし
三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁
まだ十三、四歳でしかない孔明の眼にも、このあわれな流離の群れ、飢民の群れの生活が、ふかく少年の清純なたましいに、
(――あわれな人々)として烙きついていたにちがいない。
(どうして、人間の群れは、こんなにみじめなのか。苦しむために生れたのか。……もっと、生を楽しめないのか)
そんなことも考えたであろう。
いや、もう十三、四歳といえば、史書、経書も読んでいたであろうから、
(こんなはずではない。この世の中のうえに、ひとりの偉人が出れば、この無数の民は、こんなおどおどした眼や、痩せこけた顔を持たないでもいいのだ。――天に日月があるように、人の中にも日月がなければならないのに、そういう大きな人があらわれないから、小人同士が、人間の悪い性質ばかり出しあって、世の中を混乱させているのだ。――かわいそうなのは、何も知らないで果てなく大陸をうろうろしている何億という百姓だ)
と、いう程度の考えは、もう少年孔明の胸に、人知れず醗酵していたにちがいない。
なぜならば、彼の一家も、大学を卒業したばかりの兄の瑾ひとりを杖とも柱とも頼み、家財道具と継母とを車に乗せて、孔明の弟の均や妹たちを励ましながら――わずかな奴僕らに守られつつ、それらの飢民の群れにまじって、毎日毎日曠野や河ばかりの果てなき旅をつづけている境遇にあったからである