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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

二

童子は、飛んできた。――そして内から柴門をあけて、客のすがたを見ると、

「ああ、元直さまか」と、馴々しく云った。

徐庶は、傍らの木へ、駒をつないで、

「先生はいられるかね?」

「おいでになります」

「お書斎か」

「ええ」

「おまえはなかなか歌がうまいな」

「元直さまは、急にこの頃、美々しくなりましたね。剣も、着物も、お馬の鞍まで」

園の小径を、奥へ歩いてゆく徐庶のあとから、童子は口達者にそういった。徐庶は、そういわれて、心にかえりみた。――かつての破衣孤剣の貧しい自分のすがたを。――そしてここの簡素な家の主に対して、何か、会わないうちから気恥かしい心地をおぼえた。

二

童子は、茶を煮る。

客と主は、書斎のうちに、対話していた。

「秋も暮れますなあ」

徐庶がいう。

孔明は、膝を抱いて、

「冬を待つばかりだ。すっかり薪も割ってある」

と、いった。

徐庶は、いつまでも、云いだせずにいた。すると孔明のほうから、訊ねた。

「徐兄。きょうのお越しは、何か用ありげらしいが、そも、なんのために、孔明の廬へお立ち寄りか」

「されば」と、ようやく、緒口を得て、

「――実はまだ、先生にもお告げしてないが、拙者は先頃から、新野の劉玄徳に仕えていました」