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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

五

――汝ら、無益な紙筆をついやすな」

頑として、孫策はきかない。すると、呂範がこうすすめた。

「こうなされては如何です。彼が真の神仙か、妖邪の徒か、試みに雨を祈らせてごらんなさい。幸いにいま百姓たちは、長い旱に困りぬいて、田も畑も亀裂している折ですから、于吉に雨乞いのいのりを修させ、もし験しあれば助け、効のないときは、群民の中で首を刎ね、よろしく見せしめをお示しになる。その上のご処分なら、万民もみな得心するでしょう」

五

「よかろう」

孫策は快然と笑って即座に吏に命じた。

「さっそく、市中に雨乞いの祭壇をつくれ、彼奴が化けの皮を脱ぐのを見てやろう」

市街の広場に壇が築かれた。四方に柱を立て彩華をめぐらし、牛馬を屠って雨龍や天神を祭り、于吉は沐浴して壇に坐った。

麻衣を着がえるとき、于吉はそっと、自分を信じている吏にささやいた。

「わしの天命も尽きたらしい。こんどはもういけない」

「なぜですか、霊験をお示しあればいいでしょう」

「平地に三尺の水を呼んで百姓を救うことはできても、自分の命数だけはどうにもならんよ」

壇の下へ、孫策の使いがきて、高らかに云いわたした。

「もし、今日から三日目の午の刻までに、雨が降らないときは、この祭壇とともに、生きながら焼き殺せとの厳命であるぞ。