輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 頁

青空文庫

「私は、命を投げだして此室へまいったのです。こんなにあなたさまを思っておりますものを、すこしでもあわれと思召すお心があったら、どうか、萩乃様、この念いを――」

もう夢中の門之丞だ。内々考えてきた口説の文句など、実際となると、なんの役にもたちません。相手がアア言ったらこう、コウ出たらアアなどと、順序や策が頭に浮かぶあいだは、人間万事、まだほんとうに真剣ではないのかもしれない。門之丞は、これが主君のいいなずけだということすら、すっかりどこかへケシとんで、ただ、われとわが身の情炎に、眼もくらめき、たましいもしびれ、女対男、男対女……としかうつらない。

妙なる香のたゆとう深夜の寝室。

ねまき姿もしどけなく、恐怖と昏迷に白い顔をひきつらせて、キッと立っている妻恋小町――知らぬ火小町の半身に、かたわらの灯影が明るくゆらめき、半身は濃むらさきの闇に沈んでいる。

あまりの美しさ! あまりにもあでやかな眺めに、門之丞はしばし、その血管内に荒れ狂う意馬心猿もうちわすれ、呆々然として見惚れたのでした。

切れ長な眼に、かよわい女の身の、ありったけの険をふくませて、萩乃は真っこうから、門之丞をにらみつけながら、