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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 頁

青空文庫

橋の上下

一

ピュウーン!

どこからともなく飛んで来て、眼のまえの筵に突き刺さったものがある。

結び文をはさんだ矢……矢文。

橋の上下

一

矢……といっても、ほんとの矢ではない。こどもの玩具のような、ほそい節竹のさきをとがらし、いくつにも折った紙を二つ結びにして、はさんだもの。

そいつが、頭上をかすめて飛んで来て、つくろっている筵に、ブスッ! ちいさな音を立てて刺さったから、おどろいたのは左膳で。

「なんでえ、これあ――」

ぐいと抜きとりながらあたりを見まわすと、河原をはじめ、町へ登りになっている低い赭土の小みちにも、誰ひとり、人影はありません。

「矢文とは、乙なまねをしやアがる」

口のなかで言いながら、左膳、その文を矢から取って、ひらいてみた。

躍るような、肉太の大きな筆あと――りっぱな字だ。

「こけ猿の茶壺に用なし。中に封じある図面に用あり。図面に用なし。その図面の示す柳生家初代の埋めたる黄金に用あり。われ黄金に用あるにあらず。これを窮民にわかち与えんがためなり。

すなわち、細民にほどこさんがために、いずくにか隠しある柳生の埋宝に用あり。埋宝に用あるがゆえに、その埋めある場所を記す地図に用あり。