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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
その横に、ほの暗い部屋の中に、浮き立ってみえる、厚化粧のお由羅が、侍女を従えて、立っていた。
「お退り召され」
伊集院が、膝を立てて、仙波にいった。丁度、その時、老公の顔と、名越の顔とが合ったので、名越が、平伏する。仙波も、すぐ平伏した。
「お退り召され」
二人は、平伏したまま、暫く、じっとしていた。
「将、何んとした」
斉興が、声をかけた。将曹は、襖を開けて、入りながら
「只今、言上」
と、坐って、後ろ手に、襖を閉めた。
「早く――」
と、伊集院が、三度目に促すと共に
「煩いっ」
左源太が、低いが、鋭く叫んで、伊集院を睨んだ。仙波は、木箱の中へ、毀れた人形を包んで入れた。
「退ろう」
と、名越を振向いた時
「両人共、待てっ」
足音と共に、斉興の部屋から、呼び止めた人があった。
襖を開けたのは、横目付、四ツ本喜十郎であった。後ろ手に閉めて、二人の前へ坐ると
「何か、証拠の品が、あると申されるか」
「ござります――これなる――」
仙波が、膝の上で、包みかけていた箱を、差出した。
「暫時――」
四ツ本は、そのまま向き直って、膝行して、書院へ入った。
二人は、膝へ手を置いて、黙っていた。