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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「母と二人で行けるか?」
「ええ、参ります。そして、妹は?」
「深雪には、深雪の役がある」
「何んな役? お父様」
七瀬が、襖を開けた。召使が、膝を揃えて平伏した。
「お暇乞に」
七瀬が、そういって、中へ入ると、小者の又蔵が
「いいえ、お暇乞でござりませぬ。ただ今、この御手当を頂きましたが、これは、御返し申します」
又蔵は、金包の紙を、敷居の中へ押しやった。
「六年と申せば、短いようで長い――お嬢様が、十二三から、こんなに御成長遊ばしますまで、ええ、その長い間、何うか、よいところへ御縁のきまるを見てと、それを楽しみに――何も、今更になって、手当だの、暇だのと、それは一期、半期の奉公人のことで、手前は、憚りながら、坊ちゃんに、剣術を教えて頂きますのも、こんな時に、又蔵、こうこうこういう訳だが、どう思う、と、旦那様、一言ぐらい仰しゃって下さっても――」
又蔵の涙声が、だんだん顫えて来た。
「い、いきなり、手当をやるから、出て行けって――」
「又蔵、よくわかった。忝ない。然し、明日から雇人を置く身分ではなくなるのじゃ」
「さあ、旦那、そこで――手前は、や、雇人じゃござんせん。