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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「暫く」

と、小太郎の前に立った富士春は、紅縮緬の裏を媚めかしく返した胸のところへ、わざと手を差入れて、胸の白さを、剥き出しにしていた。

「益満は?」

「休さん?」

富士春は、こう云っておいて、すぐ

「もう見える筈――お上んなさいましな」

小太郎は、土間へ眼を落したままで

「間もなくで、ござろうか」

「今しがた、南玉先生も、お尋ねに見えて、いつも、もう見える時分、町内の御若衆ばかりゆえ、御遠慮はござんせん」

源公は、小太郎をじっと眺めていたが

「不憫や、この子も」

と、大声に云って

「素浪人」

と、小太郎に、聞えないように、小さく呟いた。そして

「お上んなせえまし」

「おもしろい方ばかりで――」

「暫時、では、ここにて、待ちましょう」

小太郎は、上り口へ、腰をかけた。

「そこは――」

富士春は、両膝をついていたが、こう云うと、片膝を立てた。乱れた裾から、白い肌、紅縮緬が、小太郎の顔を、赤くさせた。富士春は、小太郎の耳朶の赤くなったのに、微笑して

「では、こちらへ」

小太郎の、腰かけている後方から、小太郎の後方の格子の前に重ねてある座蒲団を取るために、手を、身体を延すはずみ、左手を、軽く、小太郎の腰へ当てて