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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

夜は必ず、御岳講か、浪花講へ泊れ」

「それが、ようがす、宿のことなら、あっしが――」

「煩いっ」

「旦那、御尤もでござんす」

庄吉が大きな声を出した。そして、早口に

「あっしが、若旦那をお怨み申したように、あっしが憎うがしょう。だがねえ、あっしら仲間にゃあ、意地って奴と、粋興って奴とがござんしてねえ――」

小太郎が

「わかったから、あっちへ参れ」

と、いって、庄吉の肩を、静かに押した。

「ようがす。この御道具類は?」

「捨てて置く」

「じゃあ、あっしに頂かせて下さいまし」

八郎太が

「売って、手首の疵の手当にでも致せ」

「ところがね、へっへっへ、そんな、けちな巾着切じゃござんせん――じゃあ、皆様、あっしゃ、ここで失礼いたしやす」

庄吉は、丁寧に、御叩頭をして門番の窓下へ行って

「御門番」

と、怒鳴った。そして、何か、紙包を渡して、物を頼んで、雨の中を、闇に融けてしまった。

親子、主従六人は、もう顔も見えぬくらいになった闇の中に立っていた。八郎太は、話し出そうとして、妻の顔が、ほのかな、輪郭だけしか見えぬのに物足りなくて

「灯を――」

と、いった。又蔵が

「はい」

燧石が鳴った。