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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「お見限りだねえ」
「何を――こっちのいう科白だ。近頃は、巾着切を、くわえ込んでいるくせに――」
富士春は、下から、媚びた目で、益満を見上げて
「ま、お当て遊ばせな」
と、座蒲団を押しつけた。
「貴様でも、遊ばせ言葉を存じておるか」
「妾は、元、京育ち、父は公卿にて一条の」
「大宮辺に住居して、夜な夜な、人の袖を引く」
「へんっ、てんだ。何うせ、そうでございましょうよ。柄にもない、お嬢さんなんかと、くっついて」
富士春は、益満の眼へ、笑いかけつつ、茶をついだ。
「そのお嬢さんに、小藤次が執心らしいが、師匠、一つ骨を折って、奥勤めへでものう。父は浪人になるし、南玉の許に食客をしていては――」
「本当にね、お可哀そうに――」
「などと、悲しそうな面あするな。内心、とって食おう、と、思っているくせに――」
「やだよ、益公。与太な科白も、ちょいちょい抜かせ。意地と、色とをごっちゃにして、売っている、泥溝板長屋の富士春を知らねえか」
「その啖呵あ、三度聞いた」
「じゃあ、新口だよ。いいかい、剣術あお下手で、お三味線はお上手てんだ、益公。お馬もお下手で、胡麻摺りゃお上手。ぴーんと、痛いだろう」