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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
斉彬は、年が若い。幕府の狸の手に、うまうま乗って、この金を使うようになったなら、それこそ、御家滅亡の時だ――。
邸の表に人声が、騒がしくすると、廊下へ荒い足音がして
「申し上げます。窮民共が、米屋、両替を、ぶちこわしに歩いておりますが、御城内よりは、支配方が繰出しましてござりまする」
「邸の手配はよいか」
「十分でござります」
「水の手の支配は、佐川に申し付けえ。竜吐水を、邸の周囲へ置いて」
六十を越したが、未だ年に二度ずつ、大阪を出て、江戸から、鹿児島へ巡廻して来る元気のある調所は
「馬の支度」
「御前が――」
「見に参る。何ういう様子か」
「危うござります。お止めなされませ」
近侍が、眉をひそめて、こういった時
「御国許より、牧仲太郎殿、御目通を願いに出られましたが――」
と、襖越しに、物静かな声で、取次侍が、知らせてきた。
「牧が――」
調所は、半分立ちかけていた腰をおろして
「すぐ案内せい、鄭重に――」
物をこわす音が、少し低くなった。時々、鉄砲の音が、気短く、はぜては、すぐ止んだ。
「もう、退治たか。早いの」
と、調所が、笑って、左右の人々へ云った時、襖が開いて、牧が、眼を向けると、すぐ平伏した。