輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

た。

黒煙が、薄く立昇ると、お由羅は、次々に護摩木を投げ入れ、塩を振りかけ、水をそそいだ。煙は、濛々として、生物のように、天井へ突撃し、柱、襖を這い上って、渦巻きおろして来ると、炉の中の火が、燃え上って、部屋の中が、明るくなった。

お由羅は、暫く眼を閉じて、何か念じていたが

「南無、金剛忿怒尊、御尊体より、青光を発して、寛之助の命をちぢめ給え」

と、早口に、低く――だが、力強くいって

「相は?」

と、叫んだ。と同時に、侍が

「蛇頭形」

と、叫んだ。火炉の中の火焔は、蛇の頭の形をしていた。槍形、牙形というように、焔の形によって判断をするのが、調伏法の一つであった。

お由羅は、また、眼を閉じて、護摩木を投げ入れ、毒薬と、丁香とをそそぎかけて

「色は?」

と、叫んだ。

「黒赤色」

黒赤い、凄さを含んだ火焔が、ぱっと立っていた。

「声は?」

「悪声」

それは、焔の音を判じるのであった。

煙と、異臭とが、部屋の中で、渦巻いた。お由羅は右手で、蛇の皮を、犬の胆を、人の骨を、炉の中へ投げ入れて、その度に

「相は?」

とか

「声は?」

とか――火焔の頂の破散で判じ、音で判じ、色で判じ、匂で判じて、調伏が成就するか、しないか――額は、脂汗が滲み出していたし、眼は異常に閃いていた。