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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「心得ちゃいるよ」

「気に障ったら、御免よ。俺、悪気でいうんじゃあねえから」

「師匠の気持は、よく判るよ。だが、師匠に俺の気持ゃ判らねえらしいの」

「いや、深雪さんから、それも、薄々聞いてはいる。いろいろと、骨を折ってくれたそうだが――そりゃあ、お前の気性でねえと、他人にゃあ出来ねえことだ」

「と、其処までは、判っているが――それから先きだ」

「ふむ――一番、考えてみよう。それから先き、先き、先き、先きと」

南玉は、尤もらしく、腕組をした。

「いろはにほへとの五つ目か」

「ええ? いろはの五つ目?」

庄吉は、指を繰って

「ほ」

「れ」

「及ばねえ色事だよ。師匠、そいつあ十分承知だ。だから、女房にもとうの、妾にしようの――いや、手を握ることさえ、俺あ、諦めているよ。立派に、ちゃんと、駈引無しに、諦めちゃあいるよ。だがのう、俺の、この気持を判って欲しいと思うんだ。それも、俺あ、憐んでもらいたかあねえ。惚れた男を憐むって裏にゃあ、師匠、軽蔑がいゃあがるからのう。俺、男としてさ、軽蔑されたかあねえや。ただ、判って欲しいのは、男が惚れた時、その女に、何んなに男らしいか? 俺あ、命を捨ててもいいよ――この間から、富士春と、これで度々の喧嘩だ。