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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

返事がなけりゃ、無いでも、いいんだ。俺あ、こうと思ったことを、やってみるまでだ。お前が、よく、寄席でいうのう、虎と見て、石に矢の立つためしあり――人間の一心って通じるもんだよ――又、来らあ、あばよ」

庄吉が、立上った。

「そうかい」

南玉は、そう口先きで、いっただけであった。

(斬死した? 庄吉のいうのは、本当らしい。だが、庄吉に打明けて、いいか、悪いか。益満から固く口止めされているのに――)

と、南玉が、乱れかかる心を、じっと、両腕で押えた時

「こんちは」

富士春の声であった。

「いらっしゃる?」

庄吉は、真暗な上り口で

「お春か」

と、いった。

「そうだろうと思ったよ」

怒りと、恨みとを含んだ、静かな――だが、気味悪い声であった。

「お師匠さんかい。今、灯をつけるよ。庄さんと、話に夢中になって――」

と、いいながら、南玉は燧石を叩いて、附木を燃した。一家中が、仄かに明るくなった。庄吉は、上り口で突立っていた――富士春は、狭い土間から、庄吉を睨みつけていた。そして、行燈の光が家の中へ充ちると共に、素早く、家の中を見廻した。深雪はいなかった。

「さあ――庄さん、もう一度、お坐り。