輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「南無金剛忿怒尊」

と、叫んで、眼を突いた。白い液が、少し流れ出て来た。兵助は、左の眼も突き刺した。

「お待ちに、ござりまするが」

三度目の使が、襖外で、恐る恐る、声をかけた。斉彬は

「今――」

と、いったまま、紫檀の大机に凭れて、書物をしていた。そして、筆を走らせながら、

「今行く」

と、大きいが、物やさしい声をした。机の上にも、膝の周囲にも、書物と、書き損じの紙とが、散乱していた。

寛之助の臨終にも、同じ邸にいる父として、無論、行かねばならなかったが、今書いている「大船禁造解」と、「大船禁造令撤去建議案」とは、一日早く出来上れば、一日だけ、日本に利益と、幸福とを齎して来るものであった。

斉彬の頭の中も、血の中も、大船を造ることを禁じるというような愚令を、早く、撤廃させなくてはならぬ、ということで、いっぱいになっていた。煙を上げて走る、鋼鉄で装われた舶来船で、表象されている異国の力と、知識とを得んがためには、同じ船を作るより外に、最初の手がかりは無いはずであった。

幕府も、それを知っておりながら、反対論に怯えたり、繁雑な手続きを長々と調べたり――斉彬は、そういう役人、大名、輿論に対して、ただ一人、この部屋で、こうして闘っていた。