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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
玄白斎は、険しい眼をして
「人髪は?」
仁十郎は、あたりを探して
「髪の毛はないか」
二人は、向き合って、暫くだまっていた。玄白斎は、焚火をしたため、黒く焼けている岩肌を眺めていたが
「和田、この岩の形は?」
「岩の形?」
「鈞召金剛炉に似ているであろうがな」
和田は、ちらっと岩を見て、すぐ、その眼を玄白斎へ向けて
「似ております」
と、答えた。
「牧は、江戸へ上ったのう」
「はい」
玄白斎は、眼を閉じて、暫く考えていたが
「阿毘遮魯迦法によって、忿怒曼徳迦明王を祭った、人命調伏じゃ。この法を知る者は、牧の外にない」
呟くようにいったが、その眼は、和田を、鋭く睨んでいた。和田は、自分がとがめられているように感じて、面を伏せると
「この品々を、拾って――」
玄白斎は、岩の上の木片、蛇皮を頤で差した。和田が拾っていると
「他言無用だぞ」
と、やさしくいった。その途端――下の方で、それは、人の声とも思えぬような凄い悲鳴が起ってすぐ止んだ。
二人も、ちらっと、眼を合せて、すぐ、全身を耳にして、もう一度聞こうとした。何んのための叫びか、もう一度聞えたなら、判断しようとした。暫く、黙って突立っていた二人は、もう一度眼を合せると、和田が