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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

高木の眼が、きらっと、閃くと

「この、ど狐がっ」

「危いっ」

「おのれっ」

高木と、四ツ本との間へ、怒声と、棒とが入り乱れて飛んだ。四ツ本は、素早く退いて

「加勢を呼べっ」

と、叫んだ。一人が、走って行った。高木は、刀を提げたまま、じっと、立っていたが、四ツ本が、人々の背後へ入って、陰険な眼で、睨んでいるのを見ると

「出ろっ、四ツ本、卑怯者っ」

と、叫んで、刀を振りかざすが早いか、飛びかかった。

「ええいっ、えいっ」

棒が、肩へ、股へ飛んだ。

「それでも、武士かっ」

高木は、暗い中へ逃げ去った四ツ本の後姿へ、こう叫ぶと、力任せに、刀を投げつけた。そして、素早く、脇差も投げ出すと

「和田は、何処にいる」

と、聞いた。

「神妙にしろ」

「同じ家中だ。貴公等を斬ったとて、褒められはせん。和田のところへ、連れて参れ」

と、云って、突っ立っていた。

「不届者がっ」

斉興は、脣を、びくびくさせて、斉彬派の人々の姓名を、読んでいた。

「何れも、重い役目で、一藩に、範を垂るべき人間でないか」

「はい」

伊集院平は、膝へ両手を置いて

「それで、誰々を、如何ように、処分仕りましょうか――」

と、斉興を見た。