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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
お前と話したなら、きっと気に入るであろう。わしは、それを信じて、安心して死ぬ。親爺に、介錯をしてもろうて、倅に、行末を頼んでの。わしの、家来に、お前等二人のいることは、わしの誇りじゃ」
靱負は、こういって、笑ったが、その眼の中には、微かに涙が、薄紅く光っていた。
「忝のう存じまする」
吉兵衛が、手をついていた膝の上へ、涙を落した。吉之助は俯向いて、眼を閉じていたが、父が、こういうと、垂れていた頭を、もっと低くした。
「この間、高崎の死体を掘り出す時に、人夫へ手伝ったということを聞いたが、真実かの」
「はい」
「それもよい。だが、なるべくば、その情をもっと大きく、天下蒼生のために、用いるよう心掛けてくれ。斉彬は、冷徹、信ずる理前の通りに行おうとしているし、お前は、熱情をもって、人間の大道を行こうとしているが、極まるところ、二つは合致していて、何れも、人間の大道は通じておる。そうであろう」
靱負は、こういった時、隣りの部屋で、三時の時計が、ゆるやかに、鈍く、響き渡った。三人は、暫く、黙っていた。
「わしの、この肌衣を、形見に与えよう。血染めになったのを――」
「はい」