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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「そうだ」

と、南玉が

「お嬢さんの心は、判ってらあ」

「師匠――俺、たった今まで、自棄を起して、死ぬつもりだったが、一寸――ほんの、ちょっぴり、思案をかえらあ」

「そうかい」

「何う変えるか、代は、見てのお戻りってんだが、休公の、鼻を齧るのだけは、変えねえ――じゃ、いよいよ、これが、ぎりぎりけっちゃくの、さよなら、だ。さよなら――お嬢さんにゃ、しかし、もう一度、お目にかかりやす」

庄吉は、土間へ、降りた。

「さよなら」

「行くか」

と、南玉と、小太郎とが、答えた。

「南玉」

すぐ、小太郎が云った。南玉が、顔を挙げると

「これを、小藤次の許まで、送って行ってくれんか」

「ええ――然し、若旦那。小藤次が、牧の行方を知らん時には――」

「肌さえ許せば、御自身、御存じのうても、誰方か、からか、聞いてくれましょう」

と、深雪が、いった。小太郎が頷いた。

「覚悟を、きめなすったかえ?」

「ええ」

深雪は、はっきりした口調であったが、顔が、少し、蒼白めていた。

「ようがす――と、いって、いよいよ行くとなりゃ、化粧もして――」

「ええ――兄様、風呂へ参ります暇は、ございましょうか」

小太郎は、深雪の健気な決心を見ると共に、胸を掴みしめられるように苦しくなってきた。