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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
二人は、一本の柱を中心にして、残すところのないように這い廻った。
微かに足音がしても、這うのを止めた。紙燭の灯の洩れぬよう二人の袖で、火を囲んだ。一寸、二寸ずつ少しの物音も立てぬように這った。
小太郎が、益満の袖を引いて、その眼と合うと、前の方を指さした。益満が、うなずいて、大きく足を延して、一気に近づいた。土が盛上って、乱れていた。二人は、向き合って、片手で、灯をかばいながら、片手で土を掘った。十分に叩かれていないらしい土は、指で楽々と掘り返せた。
二人の眼は、嬉しさに、微笑していた。小太郎が
「それに、ちがいあるまい」
と、低くいうと
「箱らしい」
益満は、両手で土を掻いた。白い箱が、土まみれになって、だんだん形を現してきた。二人が、両手をかけてゆすぶると、箱は、すぐ軽くなった。一尺に五寸ぐらいの白木で、厳重に釘づけにされていた。
「開けて」
と、小太郎が、益満を見ると
「開けんでも、わかっとる」
益満は、土を払って、箱の上の文字を見た。梵字が書いてあって、二人にはわからなかったが、梵字だけで十分であった。
(余り、うまく行きすぎた)
と、二人とも思っていた。