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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

来た。

お由羅は、朱塗、金蒔絵の女駕に、斉興も、駕に、平、将曹等は、馬上で――その左右には、書院番、奥小姓などが、付き添うて、それぞれ、陣笠に、陽を避けつつ、いろいろの響きを、混合させて、橋いっぱいになって、通りかかって来た。

「顔がしかと見えぬが――」

「前のが、平だ」

伊牟田は、こういって、短銃を、右手にして、四辺の舟を、十分に注意してから

「よいか」

と、有村を見た。

「よしっ」

有村は、いつでも、帆を上げられるように、用意して、その帆の蔭から

「将曹を撃つぞ」

と、いって、狙いを定めた。

「十分に、狙いを――落ちついて」

と、伊牟田が、声をかけて、片膝を立てながら、引金へ指を立てた。

駕脇の一人が

「あっ」

と、叫んで、湖水を、指さすと、一人が

「曲者っ」

と、叫んだ。人々が、湖上から、それを見つけ出そうと、一斉に、左を向いた刹那

「危いぞ」

と、平が、叫んで、馬の頸へ、身体を、伏せようとした。その、ほんの一刹那――だ、だあーん――湖水いっぱいに、山々に、橋に、響き渡った。

駕脇の士は、刀の柄へ手をかけて、お互に身体をぶっつけながら、駕に当りながら、駕を守った。