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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「密談がある。次の間へ」

と、益満が云った。深雪は、何故かしら、腹が立った。

「妾――叡山へ、墓詣りに参りたいと、存じますが――」

益満が、頷いて

「そうか――うむ、行くがよい。庄吉でも、つれて」

と、云った。深雪は、中っ腹で、突っかかったのに、益満が、すぐ、承知してくれたので

(怒ったりして、済まぬ)

と、思うた時

「墓詣り?――何んなら、拙者が」

有村が、あぐらをかいたまま、笑った。そして

「誰の墓だの。云いかわした男の――いや、墓詣りなどと申して――よくある手じゃて――益満、何うして、手に入れた女だ」

深雪は、一言一言に、汚れて行くように感じた。

「父の墓で、ござります」

こういって、深雪は

「では、すぐに行って参ります」

と、立とうとすると、益満が

「これは、仙波の娘じゃ」

「ほほう、八郎太の――そうか、それは、とんと御無礼だ。御両親とも、無残な御最期で、御察し申す。わしは又、江戸の――」

と、いいかけているのへ、深雪が

「あの」

と、叫んで、顔色を変えながら

「ただ今、仰しゃりました――」

と、いいかけると、益満が

「七瀬も、人手にかかったのか?」

と、口早に、聞いた。