輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
深雪は、這って、近づこうとして、身体を、起すと
「野郎っ」
南玉の声であった。深雪の、うつろになったような頭の中に、眼の中に、棒を振上げた南玉の姿が、写った。そして、そのうしろに、小太郎の顔があった。
(兄様っ――)
と、叫ぼうとしたが、何んだか、身体が、地の中へ、落ちて行くようで、兄の顔が、急に遠くなった。
(しっかり、しなくては――)
と、思って、自分の手を、握りしめると、南玉が、棒を振上げていた。
(庄吉――)
と、思うと、草の中に、黒い凝固が、動いていた。胸がはだけて、血が見えていた。
(庄吉が、死んだ――殺された)
と、思うと、眼の前が、急に、暗くなって、頭を、後方へ、引倒されるように感じた。そして、それに抵抗しようとしたが、ずっと、穴の中へでも、急速度に、落ちて行くように感じると――何も、判らなくなってしまった。
「深雪」
と、叫んだらしい声だけが、ちらつと、耳の中へ聞えたようであったが
(師匠らしい)
と、感じただけで、もう、二人の死闘も、血も、草も、山も、月丸も、感じなかった。
「深雪さん」
と、いう微かな――遠いところで、誰かの呼んでいる声がした。